カテゴリー: 薬草について


バラ目クワ科クワ属の落葉樹。
クワの名の由来は、カイコの「食う葉」あるいは「蚕葉(こは)」の読みから来ていると言われています。ヨーロッパやアジアに広く分布し、日本でも古くから養蚕のために栽培されてきました。
クワは、養蚕に不可欠な木で、各地で養蚕が盛んだったころの名残として畑に桑が植えられているのがよくあります。この地域でも昔は各家で養蚕をしていて、棚田にも大きく育った桑の木がその名残としてあります。毎年田植えの頃には実が熟し、一息入れるおやつとして重宝しています。

桑は、繁殖力が強くあちこちで芽吹いて育っています。
古来より、桑の葉には薬効があるとされていました。2世紀には中国の書「神農本草経」において、桑葉を日陰干しした「神仙茶」と呼ばれるお茶のことが記述されています。神仙茶は、風邪・百日咳・中風・利尿作用を始め、高血圧や滋養強壮にも効果があるとされていました。また、日本の鎌倉時代の書である「喫茶養生記」には、桑粥桑湯は飲水病(糖尿病)に効くとの記述もあります。
近年注目されているのは、糖尿病予防に効果的な成分が含まれているというところです。
平成2年から6年にかけて行われた「神奈川県の機能性食品に関する共同研究事業」により、桑の葉に含まれる1-デオキシノジリマイシン(DNJ)の糖尿病予防効果が科学的に証明され、桑の葉は健康食品として脚光を浴びることになったのです。最近では桑の葉茶やパウダーなど、健康食品があふれています。

そのほか桑の葉には人体に有益なミネラルやビタミンが含まれており、カルシウムの含有量はキャベツの60倍、カロテンの含有量はほうれん草の約10倍にもなります。ミネラルやビタミンには体の機能を健全に保つ作用があるため、桑の葉を摂取することで、免疫を適切に保つ効果があるとされています。またポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化物質が含まれ、有害な活性酸素を除去、細胞の酸化を防ぎ、老化を防止する効果があるとも言われています。

なかなかに優れた薬草ですが、今回の百花草ビールに含まれる桑の葉は少しですので、薬効を期待される方は桑の葉茶などをお飲みになってくださいね。

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