エールとラガーのちがい
ビールの主原料は麦芽、ホップ、水、そして酵母です。
酵母は大きさ5~10ミクロンほどの微生物で、この微生物が麦芽由来の糖を食べる(分解する)とアルコールと二酸化炭素になります。つまり麦芽から作った麦汁がビールというアルコール飲料になるのは、酵母があるからこそなのです。
その酵母を大別すると「エール」と「ラガー」に分かれます。
エールとラガーの違い
エール:2000年の歴史。古代ローマ帝国の統治下のイギリスから始まったとされています。常温で発酵するので冷蔵設備のなかった古代でも醸造できたけれど、その分、雑菌による汚染との戦いであったため、冷涼な気候のイギリスがエール作りに適していたと言われています。
ラガー:600年の歴史。ドイツ南部バイエルンで冬場の寒い時期、洞穴に氷を入れてビールを熟成させる製法でラガービールが誕生。19世紀にチェコで「ピルスナー」というビールが誕生して以来、ビールはラガーが主流となりました。
日本の大手ビールはラガーが中心ですが、クラフトビールはエールを基本としているところが大半です(最近は大手ビールメーカーもクラフトビールという名前のビールを作りだしています)。ラガーよりも小規模な設備でできることと、オリジナルな味わい、香りを楽しむ多種多様なビールを作るのに適しているからです。当伊吹山グリーンビアラボのビールも上面発酵のエールです。
●発酵の温度
エール酵母:15~25℃程度の常温で活動する。
ラガー酵母:5~10℃程度の低い温度帯で活動する。
●発酵時の様子
エール酵母:上面発酵=発酵すると液体の表面に浮かび上がってくる。
ラガー酵母:下面発酵=発酵すると液体の底に沈殿する。
●発酵の期間
エール酵母:3~5日(熟成期間は2週間)/香り成分のエステルを生成するため香りが豊か
ラガー酵母:発酵期間は7~10日(熟成期間は1カ月)/エステルをあまり生成しない。すっきりしている。